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企業・産業の進化研究会のご案内 (9月14日(水)18:00~21:00)

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進化経済学会MLのみなさま

お世話になっております。東京大学ものづくり経営研究センターの許経明でございます。

次回の「企業・産業の進化研究会」が9月14日(水)に幣センターで、
下記のとおり行われますので、ご案内致します。
ご多忙のことと存じますが、是非ご出席くださいますようご案内申し上げます。
準備の都合上、ご出席の方はご返信いただけますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。

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日時:9月14日(水) 18:00~21:00頃

場所:東京大学ものづくり経営研究センター
   東京大学経済学研究科 学術交流棟(小島ホール5階)
地図: http://merc.e.u-tokyo.ac.jp/mmrc/access/index.html

<地図は添付ファイル:Mapを参照ください>


■研究発表

1)辺成祐(ビョン・ソンウ、東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター)

<発表タイトル>
「プロセス産業の技術移転マネジメント:韓国鉄鋼メーカーの技術導入とアーキテクチャに対する認識」

<発表要旨>
新興国の企業が先進国企業の技術を導入して、成長の動力として活用していくことは、経済成長論、キャッチアップ論、技術移転論など、幅広い分野で注目を集めてきた。特に資本集約的な産業に関しては、設備に生産技術やノウハウが体化される(embodied)ことで、その設備を導入する場合、技術移転の効率が高くなるとの指摘もあった。資本集約的な鉄鋼産業、半導体産業、石油精製産業、醸造産業など、いわゆるプロセス産業が典型例である。Gerschenkron(1962)は、‘後進性の優位(economic backwardness)’を鉄鋼産業から説明した。鉄鋼産業は、生産技術やノウハウが既に蓄積されているので、後発国が大規模な資本さえ投入すれば、規模の経済を活かして効率的な生産が可能だと指摘し、これが後発国の優位だとみなした。この主張を踏まえたキャッチアップ論では、半導体産業における日米韓のキャッチアップの例を取り上げながら、半導体産業における生産技術とノウハウの高い体化度に注目した。さらに、一部のキャッチアップ議論では、鉄鋼産業でも類似したことが観察され、例えば、日本に対する韓国のキャッチアップが終わっていると主張する。
 本研究では、韓国鉄鋼産業を事例に、技術移転(導入)の早い工程と遅い工程を見分け、特に遅い工程に関しては、企業が導入技術に対して持ち得る‘認識’に注目する。韓国の鉄鋼産業は、日本からの技術導入を皮切りに、先進国から最新鋭の技術を寄せ集めて稼働してきた。しかし、1970年代の最大手のPOSCO(浦項総合製鉄株式会社)、2000年代の現代製鉄といった一貫製鉄メーカー2社は、いずれも現在、高炉では日本を追い抜く生産効率を見せているが、高級鋼生産では日本に後塵を拝している。両者の共通点は、外国からの最新鋭技術の導入だけではない。ある意味、鉄鋼技術に対する認識の‘ズレ’が生じたことも挙げられる。本研究では、技術に対する認識の問題をアーキテクチャ論からアプローチする。インテグラル型工程アーキテクチャをモジュラ型だと認識することで、そのズレに気がつくのに時間がかかってしまうこと、そしてそもそもインテグラル型工程の学習に時間がかかることが同時に作用して、技術移転が遅れることにつながるプロセスを明らかにする。このような鉄鋼生産システム進化の議論の最後では、認識のズレをもたらす原因について議論する。
<発表時間>
18:00〜19:00(質疑応答を含む)


2)有賀裕二(中央大学)

<発表タイトル>
「国際価値論と投入産出ネットワーク分析」

<発表要旨>
塩沢・藤本理論により、産業ネットワークの議論と中間財を含む国際貿易の議論に共通性があることが判明している。アクティビティアナリシスの議論でも、二つの生産集合の統合は全体の純生産価値を増加する。これと同じ推理は容易に多国間の貿易を伴う一般均衡に拡張することができる。労働雇用と最終需要を含む通常の産業連関モデルでシミュレーションを行えば、やはり、自由貿易によって世界全体の純生産価値は増大する。しかし、ここで得られる結論は、「産業特化の通説」とは異なる。むしろ同一種産業同士の交易が世界全体の生産を増大させているのである。これはすでに日本の事例でも経験的に検証されている事実である。さらに、3ヶ国、3財以上の経済のシミュレーションをしてみると、自由貿易の結果、各国の産業構造に大きな歪みが発生することもわかる。自由貿易の結果、各国の産業ネットワークに歪みが生じるのである。最近、「投入産出のネットワーク分析」という分野が確立しつつある。そして、従来の産業連関分析では看過されていた階層的構造がネットワーク分析により捕捉できるようになってきた。World Input-Outputデータを利用するネットワーク分析は最近盛んになっており、有賀たちも開発している。しかし、まだ費用構造をネットワーク分析に埋め込む議論は十分でない。塩沢国際価値論との接続が今後の緊要な課題となるであろう。

<発表時間>
19:00〜21:00(質疑応答を含む)

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〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学・経済学研究科学術交流棟(小島ホール)5階
東京大学大学院経済学研究科経営教育研究センター
特任研究員
許 經明 (Shiu, Jing-Ming)
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