経済成長における制度の役割やイノヴェーションとの関係については、これまで本学会でもたびたび取りあげられてきたテーマである。このテーマを2025年度のオータム・コンファレンスと年次大会の統一テーマとして再度、取りあげようとするきっかけをなすのは、2024年のノーベル経済学賞受賞者であるダロン・アセモグルとジェームズ・ロビンソンによる制度論である。彼らによる「包括的制度」と「収奪的制度」の違いについての議論は、制度の「質」がイノベーションを支える環境を生むかどうかについての重要な論点になろう。この論点に対して、進化経済学の立場からどのような回答と分析を提起できるのか。これと同時に、イノヴェーションの促進要因についても重要な論点となろう。ここではイノヴェーションを支える制度的枠組みとはどのようなものか、また企業の競争環境や規制の役割なども議論の焦点となるはずである。そして、実証研究と政策提言の観点から、成功例と失敗例も含めた各国の事例分析も必要なものとなろう。

 このように制度の質とイノヴェーションの関係、イノヴェーションそれ自体の促進要因の考察、これらを踏まえてどのような政策提言につなげていくのかを多角的に議論することは、持続可能な成長・発展に向けた貴重な示唆をもたらすことが期待できるだろうし、本学会にとっても2002年度第6回大会(関西大学:「知識・組織・社会のイノヴェーションと進化経済学」)および2008年度第12回大会(鹿児島国際大学:「地域ネットワークとイノベーション―知識、制度、進化―」)に引き続く、進化経済学からの新たな挑戦となることを期待したい。

日程:2026年3月14日(土)-15日(日)

会場:DREAM SHIP(下関市生涯学習プラザ:〒750-0016 下関市細江町3-1-1)
https://s-dreamship.jp/information/access/


懇親会会場:市立しものせき水族館「海響館」・イルカの見えるレストラン
https://www.kaikyokan.com

【下関駅周辺・年次大会会場(生涯学習プラザ)周辺

【唐戸周辺】

大会実行委員長 磯谷 明徳

事務局長 猿渡 剛

事務局 佐藤佑一

連絡先:jafee.shimonoseki2025@gmail.com

吉田会長によるスケッチ(クリックで拡大)