磯谷明徳会長

 2021年4月より、西部忠前会長より学会長の職を引き継ぎ、2024年3月までその職務を務めることになりました磯谷明徳です。1997年の3月に「21世紀の学際的経済学をめざして」と銘打って本学会の設立大会が京大会館で開催されて以来、すでに四半世紀を経過しました。200人収容のホールに、椅子を付け足しても足りず、立ち見が出るほどの参加者を得た学会設立総会の盛況ぶりを身をもって体験した者の一人として、本学会の運営と発展に微力を尽くしたいと存じます。学会員の皆さまのご支援とご協力、ご鞭撻の程を心よりお願い申し上げます。

 昨年4月に新しい執行部(副会長:吉田雅明理事、学会事務局:原田裕治理事、会計:西洋理事)と新理事会がスタートいたしましたが、新型コロナウィルスの感染拡大とそれがいつ収束するのかも見通せない中で、2020年3月の仙台(東北大)大会から2020年度の静岡(静岡大)大会、そして2021年度の京都(同志社大)大会のいずれもがオンラインでの開催を余儀なくされました。仙台大会、静岡大会のいずれも、大会実行委員会のご尽力により、大きなトラブルもなく大会が実施されましたが、学際性、transdisciplinaryな研究を特徴とする本学会においては、様々な研究領域の研究者が一堂に会して議論し合い、会場の様々な場所で様々な知見を得ることや情報交換ができなくなってしまったことは、やはりオンラインのマイナスの側面だろうと思います。その一方で、新執行部内でのミーティングにおいてはオンラインを積極的に活用しています。昨年の4月からの勤務時間外の夜のミーティングは十数回を数えました。新執行部がこの間に取り組んでまいりましたのは、学会活動の新たな活性化と会勢の回復・拡大という、瀬尾崇理事を委員長とする学会活性化準備委員会から提起された課題です。そのための準備の1つとして、学会内の委員会体制の整備を行いました。このことについては『進化経済学会ニューズレター』第51号(2022年1月)において報告の通りです。具体的には、学会活性化準備委員会を「学会活性化委員会」とし、今年度末までに年次大会およびオータムコンファレンスの形態と運営方法について新たな企画・提案をしてもらいます。その後の当該委員会は若手学会員の増加・育成のための企画・運営を担ってもらいます。さらに「JAFEE通貨運営委員会」、「WEB・広報委員会」、「大会プログラム委員会」の3つの委員会を整備しました。JAFEE通貨運営委員会は、前執行部から提案されすでに承認済みの学会内通貨JAFEEの活用を担う委員会で、実際の運用がこの3月の同志社大での年次大会から開始されます。「WEB・広報委員会」においては、2022年度以降、本格運用される新しい学会HPを通じての活発な学会からの情報発信が期待されます。最後の「大会プログラム委員会」は新年度から本格的に始動します。そして、新執行部で議論を進めてきた第2のものは、学会活動・運営に関わる多くの側面のデジタル化の推進です。すでに会員の皆さまには学会事務局から告知しておりますように、次年度には「オンライン会員情報管理システム」が本格稼働し、これにより、会員本人が会員登録状況や会費の支払い状況などをWeb上で管理できるようになります。またこのシステムでは理事会選挙もオンライン投票が可能になるなど、これまで多くの時間と労力を費やしていた作業が大幅に軽減されます。もちろん、このオンラインシステムの導入によって大幅な経費削減も期待できます。併せて、学会HPの刷新によって、学会の広報活動の充実も図りたいと思います。

 会員の皆さまへの会長就任のご挨拶が大変遅くなってしまいました。次の10年、20年に向けて、会員の皆さま相互の研究交流と研究成果の内外への発信をご支援できるよう、執行部、理事会の皆さんとともに努力して参りたいと存じます。何卒宜しくお願いいたします。

2022年2月27日

進化経済学会長

磯谷 明徳