【第1回】進化経済学の分野概略オンラインレクチャーシリーズはじまる!

進化経済学会も設立から30年近くになり、先日の大会でもさまざまなジャンルでの研究の深まりを目の当たりにすることができまして、それは喜ばしいかぎりなのですが、その一方で専門化が進むにつれて見渡すことが困難になり、設立当初の強みであった、異分野融合で1つのテーマで盛り上がることが難しくなっているのではないかと危惧するところでもあります。


そこで、初心に返り、専門的理解とまではいかなくてもせめてそのジャンルでなにが面白いのか、共感できるような土壌を意識的に再生していこう、というのがこの分野概略オンラインレクチャーシリーズです。


6月1日にはその第一弾で、「J. R. コモンズ「制度経済学」の可能性:領域横断的進化経済学の始原を探る」と題しまして、部会運営にあたってこられた中原隆幸会員に、ジャンル外の方にもわかるようにお話ししていただきました。ヴェブレンの影に隠れがちなコモンズ(1862-1945)ですが、理論的純化に向かっていった経済学の大勢とは真逆に、制度は集団に属するわたしたちがどのように行為するといいのかという焦点を与えているという観点から、その包括的な研究を行いました。適正価値論、債務論、といったきわめて今日的なテーマを含むコモンズの議論は、幹の部分の話をしていたかと思えば、ひたすら枝葉の話が続くというように、けっして読みやすいものではないのですが、そこをあえて「森を見せよう」という中原レクチャーに、一同「そういうことなのかー」とコモンズ向学心を大いにかき立てられました。


今回は土曜の朝のレクチャー&お茶会という趣向でしたが、今後、金曜の夜のレクチャー&飲み会も企画しますのでどうぞご期待下さい!
(文:吉田雅明)