8/29(木) 13:00~「制度と統治部会」オンライン開催
「制度と統治部会」2024年度第1回研究会(清水潤氏『アメリカ憲法のコモン・ロー的基層』書評会、2024年8月29日)をお知らせします。
当部会が大きく関心をもっていることでおなじみのジョンR. コモンズは、法学的な概念や法の進化を応用して、経済を議論しました。コモンズが法に関心を持ち、見識をもっていたのは、20世紀初めのアメリカの裁判所が、革新的な立法を違憲とすることがあり、裁判所に違憲判決を受けないために、裁判所の考え方、そして、(創造的に再解釈するための素材としての)判例を研究したからでした。しかし、法学の知識の少ない私たちには、コモンズの議論についていくことが大変ですし、勘違いしていたり、最新の法制史からみると古い史観にとらわれていたりするかもしれません。それ以前に、私自身は、そもそもコモン・ローとは何かをうまくつかむことができませんでした。
2023年2月、白鷗大学法学部の清水潤先生が、『アメリカ憲法のコモン・ロー的基層』という本を出版されました。この本は、分かっている専門家向けに書かれたものではなく、もともとコモン・ローの知識をもっていない日本の研究者が、そもそもコモン・ローとはなにか、そして、イングランドのコモン・ローから、コモン・ローと切り離せないアメリカ合衆国憲法の解釈の変化(進化)を、丁寧に書いています。ちょうど、コモンズがウィスコンシン州の行政で活躍した時代まで、書かれています。業績を英語で出す今のご時世、そして、現に英語でも十分にお仕事ができる方が、アメリカ憲法に興味をもつ日本の研究者向けの本を日本語で書いてくださったのは、日本の社会科学者にとって、とってもありがたいことだと感じて!
います。
今回、書評会、という体裁をとっていますが、評者はいずれもJ.R.コモンズの研究者であり、コモンズとこの本の関連に関して報告し、また、評者の理解について清水先生の法制史や法思想史の知識に照らしてどのように考えるかをお尋ねする場になると思います。評者たちのもろもろの都合で、練りにねった書評を発表することは難しいので、この書評会は、質疑応答や議論を通じて、評者、清水先生、他の参加者の相互行為で(プラグマティックに!)、良い理解をつくりあげていく会になると思います。そのことを、ご了承ください。法の進化について、そして、アメリカの19年代から20年代前半の法思想史について、ご興味ある方はぜひ、議論の場で遠慮なく質問されてください。ご参加をお待ちしております。
清水潤著『アメリカ憲法のコモン・ロー的基層』(日本評論社、2023年)書評会
書籍情報 https://nippyo.co.jp/shop/book/8983.html
日時:2024年8月29日 (木) 13:00~16:00
【オンライン開催(URLは下記)】
プログラム
(今回、リプライや質疑応答をとても大事にしたいと考えています。その長さに応じて、スケジュールはかなり前後することを、ご了承ください)
13:00 開会のあいさつ(北川亘太)
13:00~13:30
報告: 清水潤(白鷗大学法学部) 「拙著概要」
13:30~14:15
評者1・北川亘太「実体的デュープロセス論とJ.R.コモンズ」
→清水先生からの「リプライ」
――5分休憩――
14:20~15:05
評者2・高橋真悟「アメリカ最高裁判決が与えた経済活動への影響」
→清水先生からの「リプライ」
15:05~15:50
評者2・阿部晃大「コモン・ローの方法を巡る法思想の対立軸とJR.コモンズの位置」
→清水先生からの「リプライ」
――5分休憩――
15:30~16:30 全体議論(最大17:00まで)
オンラインのURLは下記の通りです。
https://kansai-u-ac-jp.zoom.us/j/98181897807?pwd=eUYwx5Sz7gJZflcVWXlGQUPnxV4GQ8.1
ミーティング ID: 981 8189 7807
パスコード: 1ST0xd