
大会テーマ「制度・イノヴェーションと経済成長」
経済成長における制度の役割やイノヴェーションとの関係については、これまで本学会でもたびたび取りあげられてきたテーマである。このテーマを2025年度のオータム・コンファレンスと年次大会の統一テーマとして再度、取りあげようとするきっかけをなすのは、2024年のノーベル経済学賞受賞者であるダロン・アセモグルとジェームズ・ロビンソンによる制度論である。彼らによる「包括的制度」と「収奪的制度」の違いについての議論は、制度の「質」がイノベーションを支える環境を生むかどうかについての重要な論点になろう。この論点に対して、進化経済学の立場からどのような回答と分析を提起できるのか。これと同時に、イノヴェーションの促進要因についても重要な論点となろう。ここではイノヴェーションを支える制度的枠組みとはどのようなものか、また企業の競争環境や規制の役割なども議論の焦点となるはずである。そして、実証研究と政策提言の観点から、成功例と失敗例も含めた各国の事例分析も必要なものとなろう。
このように制度の質とイノヴェーションの関係、イノヴェーションそれ自体の促進要因の考察、これらを踏まえてどのような政策提言につなげていくのかを多角的に議論することは、持続可能な成長・発展に向けた貴重な示唆をもたらすことが期待できるだろうし、本学会にとっても2002年度第6回大会(関西大学:「知識・組織・社会のイノヴェーションと進化経済学」)および2008年度第12回大会(鹿児島国際大学:「地域ネットワークとイノベーション―知識、制度、進化―」)に引き続く、進化経済学からの新たな挑戦となることを期待したい。
オータムカンファレンス
- 日時:2025年9月13日(土) 13時~17時
- 会場:下関市立大学 本館Ⅰ棟 Ⅰ- 206教室(〒751-8510 山口県下関市大学町2-1-1)
- 17時30分より、懇親会を下関市大・厚生会館内食堂にて開催します。
登壇者
- 梶谷 懐 先生(神戸大学):「企業間取引の秩序学:中国の電子産業からの視点(仮題)」
- 永田 晃也 先生(北陸先端科学技術大学院大学):「イノベーション・エコシステムの進化における制度の役割」
- 徳丸 宣穂 先生(関西大学):「社会的ニーズ指向のイノベーションと「イノベーション公共空間」:その制度的基礎(仮題)」
参加申込
8月上旬から開始する予定です。


